今回は、耳ダニについてです。

耳ダニ感染症(耳疥癬)とは、ミミヒゼンダニと呼ばれるダニが耳の中に寄生すること起きる感染症です。

成犬や成猫ではあまり見かける機会はありませんが、子犬や子猫が最初のワクチンや健康診断などで来院した際に、耳鏡とよばれる道具で耳をチェックすると、ときどき耳垢の上を白い点が動いてみえることがあります。その場合、その耳垢を取って顕微鏡で調べるとダニがいます。

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見ているだけで痒くなってきますね。こんなのが大量にいるわけです。

耳ダニは、耳疥癬に感染している犬や猫との接触にて感染することが殆どです。そして、耳ダニは耳の中で産卵し、組織液を吸ったり耳垢や皮膚の上皮を餌にして成長します。孵化したダニは幼ダニとなり、やがて成ダニとなって繁殖して増えていきます。

耳ダニがいる場合、非常に強い痒みが出るために耳ダニに罹っている耳をしきりに掻いたり、首を激しく振ったりと明らかな異常行動を起こします。勿論、細菌や酵母菌などの感染があって外耳炎を呈していても同じような症状を呈することはあります。

因みに、耳ダニの治療は、殺ダニ作用のある点耳薬やスポットタイプの薬、注射薬などを使って治療することで駆除が可能です。薬の内容により用法は異なりますが、スポットタイプの場合は、月に1回、それを2回行う事でダニの駆除は可能となります。勿論、耳ダニの餌になるような耳垢は洗浄して取り除く必要がありますので、定期的に耳掃除が必要となります。

黒っぽい耳垢がいつも出ている、耳を痒がっている等の症状がある場合は、耳鏡で耳垢の有無やダニの有無を確認し、耳垢がある場合は、必ず耳垢の検査をすることをお勧めします。

検査をすることでそれが細菌感染なのか、酵母菌感染なのか、ダニ感染なのかを鑑別することが可能です。