当院で実際に治療を受けられた犬・猫の歯科症例写真です。処置前と処置後の状態を比較してご紹介します。
当院では歯石除去を含め、すべての歯科治療をマイクロスコープ下にて施術しています。
また、歯周病、歯内治療や歯周外科、歯周再生治療等の一般的な動物病院では治療が困難な症例についても対応が可能です。
※症例写真・治療内容について
・本治療は各患者さま固有の症例に対応したものであり、他の方への治療結果を保証するものではありません。
・病状により希望された内容通りに治療が出来ない場合があります。
・麻酔にはリスクが伴います。術中・術後に予期せぬ死亡の可能性が少なからずあります。
・再生治療はすべての患者様に対して適応されるものではなく、最低でも2回以上の全身麻酔下での治療が必要になります。
#口臭 #痛み #流涎 #歯周病 #慢性歯肉口内炎 #尾側口内炎 #破歯細胞性吸収病巣 #湾曲歯根 #全臼歯抜歯
主 訴 | 1−2ヶ月前から口臭気になる。痛そうな様子あり。他院にて過去に1本抜歯した。抗生剤を服用したが症状が全くよくならない。 |
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動 物 | 猫 | 年 齢 | 2歳9か月 |
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種 類 | 雑種 | 費 用 | 15万(術前検査含まず) |
治 療 方 法 | 全臼歯抜歯、Er.YAGレーザー |
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コ メ ン ト | 過去に1本抜歯をしたことのある猫でした。まだ若齢にも関わらず来院時における身体検査にて重度の歯肉口内炎(Gingivostomatitis)を起こしていました。また、右上顎第一切歯(incisor:101)の欠歯(missing tooth)、同上第三切歯(103)の歯周病(Periodontitis)、特に歯肉から歯槽粘膜、頬粘膜にかけて炎症が広がっており粘膜が酷く腫れ充血しており、出血を伴っていました。歯肉からの出血により歯周病菌はものすごく増殖する為、さらに炎症をおこし口腔内の衛生状態が著しく悪くなっていました。尾側粘膜物における口内炎(Caudal stomatitis)も呈していました。 急性期であれば抗生剤が有効ですが、慢性期に入ると症状の緩和は得られると思いますが、原因を治しているわけではないのであくまで姑息的(一時的な間に合わせ)な治療になります。今回の場合、この状態でも食欲があったことから原因となっている臼歯(malor)を抜歯する事で歯肉口内炎に対する治療が有効と考えました。ただ、角化歯肉~歯槽粘膜にいたる広範囲な炎症があった為、臼歯部の破歯細胞性吸収病巣(歯質が溶けてしまう状態)も呈している可能がありました。 動物の場合、意識下で評価は難しい為、確定診断は全身麻酔下での口腔内検査とレントゲン検査になります。 今回の症例では、レントゲン検査にて101は欠歯ではなく、歯根破折(Fractured tooth)であることが判明し、左下顎後臼歯の遠心根(一番奥歯の喉側の根っこ)で強い骨の外部または内部吸収(Resorption)が発生していました。そして、右下顎前臼歯(犬歯の後ろにある歯)の根分岐部(歯の股の所)における骨吸収も認められました。また、下顎の臼歯の歯根が湾曲(Curved roots)しており難抜歯の可能性が示唆されました。 手術時間は長くなってしまいましたが、幸いにも残根なく全ての臼歯(13本)を抜歯することができました。通常の歯根ではあればもっと早く抜歯できたはずが、湾曲歯根のため通常抜歯と比べ数倍の時間を要した。また、尾側口内炎を伴っている場合は、残根は症状の改善によい影響を与えない為、骨性癒着や骨吸収により完全に抜歯が出来ない場合を除き、すべて抜歯する必要があります。その為、残根確認のためにレントゲン検査を区域抜歯毎に撮影をしていました。 |
予 後 | 猫の歯肉口内炎は比較的多く診られる症状です。今回のケースでは若齢にも関わらず、病変が歯肉から歯槽粘膜、頬粘膜にまで炎症が広がっていました。猫の場合は、歯肉口内炎は様々要因により発生しますが、病変部位の抜歯を行うことで歯肉・歯槽粘膜・頬粘膜の炎症が改善し、疼痛がなくなる事が多いです。詳細は「猫の慢性歯肉口内炎」をご一読ください。本症例は初診時における見た目がかなり悪く、一部尾側粘膜にも炎症が見られたことから症状が再発する可能性もありましたが、術後数週間後の再診時における口腔内検査では尾側粘膜を含め、炎症反応がほぼ消失していました。ただし、犬歯や切歯は残っている為、今後、残存歯における歯周病や犬歯の挺出(歯が伸びてくる)に注意が必要です。症状がひどければ全額抜歯(全ての歯を抜歯)になります。 |
※治療当時の費用であり、病状や処置内容により費用が異なる場合がございます。
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