当院で実際に治療を受けられた犬・猫の歯科症例写真です。処置前と処置後の状態を比較してご紹介します。
当院では歯石除去を含め、すべての歯科治療をマイクロスコープ下にて施術しています。
また、歯周病、歯内治療や歯周外科、歯周再生治療等の一般的な動物病院では治療が困難な症例についても対応が可能です。
※症例写真・治療内容について
・本治療は各患者さま固有の症例に対応したものであり、他の方への治療結果を保証するものではありません。
・病状により希望された内容通りに治療が出来ない場合があります。
・麻酔にはリスクが伴います。術中・術後に予期せぬ死亡の可能性が少なからずあります。
・再生治療はすべての患者様に対して適応されるものではなく、最低でも2回以上の全身麻酔下での治療が必要になります。
#歯周病 #摩耗 #根尖病変 #エンドペリオ #抜歯
主 訴 | 保護犬を引き取ったが口臭が酷く、口腔内の状態が心配。歯がない所があるので今後の食事に関しても相談したい |
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動 物 | 小型犬 | 年 齢 | 5歳 |
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種 類 | トイプードル | 費 用 | 13万 |
治 療 方 法 | 歯周基本治療、抜歯 |
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コ メ ン ト | 2週間前に保護犬を引き取った飼主様が年齢の割に歯がなく、かつ酷い口臭がするとの事で歯の治療と今後の食事に関する相談も兼ねて来院されました。来院時の口腔内検査ではすでに20本欠歯の状態(通常42本。小型犬は先天的欠歯がある事が多く、正常でも少ない場合もある)でした。また、臼歯における主咬頭の摩耗(Abrasion)が酷く硬い何かを長期的に噛んで歯がすり減ってしまった状況になっていました。歯周病のため、動揺歯も複数本も確認されたました。 x-ray検査では臼歯と上顎切歯の骨吸収が著しく温存が難しかった為、抜歯処置を複数本行いました。左下顎の第1後臼歯の遠心根(後ろ側の歯根)における骨吸収が酷かったのですが、特に根尖部における透過性の低下が著しかった事から、摩耗によるエネメル質の消失とそれに伴う象牙質の露出、象牙細管から歯髄内へ細菌が侵入し、歯内感染を起こし、根尖病変を起こしていた可能性が示唆されました。また歯周病も併発していたので、いわゆるエンドペリオ病変(歯根の中の炎症(歯内病変)と、歯周組織の炎症(歯周病)が同時に起こり、相互に影響し合っている状態)になっていました。 今回、口臭の原因になっている歯周病が酷い歯に関しては全て抜歯処置を行い、それ以外の歯に関してはSRP(スケーリング・ルートプレーニング)を行いました。下顎の後臼歯の抜歯に関しては、下顎骨折のリスクがあるため、歯をバーで根分岐部で分割(section)し、1根1根下顎骨に負荷をかけないように抜歯しました。遠心根は歯周病により骨吸収があるため簡単に抜歯できましたが、近心根(鼻先側の歯根)は頬舌方向に骨性癒着(歯と顎の骨がくっついた状態)が起きていて、普通にエレベータをかけての抜歯ができなかった為、歯根膜剥離チップを使って骨性癒着部を超音波的に最小限の切削(Piezosurgery)を行い、皮質骨の強度を保った状態で、近遠心方向にエレベータをかけて抜歯をしました。 |
予 後 | 保護犬とのことで食生活を含め、どういった生活環境をしていたのか全く不明でした。臼歯の摩耗はケージや骨、おもちゃ等の硬いものを持続的にかみ続ける事で摩耗することが多く、歯咬頭が全体的に平坦化していました。また強く噛み続ける事で、人の歯ぎしりと同じ状態になり、歯根膜への負荷も相当にかかっていた可能性があります。結果として、摩耗によるエネメル質の消失から象牙細管を通しての歯内への細菌感染による根尖病変と歯周病を併発していました。今回、費用や今後の維持等を考慮し、骨吸収を伴う歯は全て抜歯したので、顎骨の骨折リスクはなくなったと考えます。 残存歯は歯磨きによるプラークコントロールである程度の維持ができると思いますが、若齢なのに重度の歯周病があった事を鑑みると、環境的な要因も勿論大いに関係があるとは思いますが、プラークに対する過敏な炎症反応の結果、重度の歯周病になったと思われます。その為、残存歯の温存には、しっかりとしたホームケアケアと定期的なプロケアが必要です。適切なケアが行えない場合、21〜24日程度で口腔内の細菌叢は処置前と同じ状態になるという研究結果があります。 食事に関してはドライフードの方が粘稠度が低くて食べかすになりづらい反面、ウェットタイプや手作りフードは粘稠度が高いので食べかすが残りやすく、温野菜も食物繊維が豊富なために歯に絡まりやすい食事になります。ウェットタイプや茹で野菜などを与えている場合はしっかりとした歯磨きをする必要があります。 |
※治療当時の費用であり、病状や処置内容により費用が異なる場合がございます。
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