当院で実際に治療を受けられた犬・猫の歯科症例写真です。処置前と処置後の状態を比較してご紹介します。
当院では歯石除去を含め、すべての歯科治療をマイクロスコープ下にて施術しています。
また、歯周病、歯内治療や歯周外科、歯周再生治療等の一般的な動物病院では治療が困難な症例についても対応が可能です。
※症例写真・治療内容について
・本治療は各患者さま固有の症例に対応したものであり、他の方への治療結果を保証するものではありません。
・病状により希望された内容通りに治療が出来ない場合があります。
・麻酔にはリスクが伴います。術中・術後に予期せぬ死亡の可能性が少なからずあります。
・再生治療はすべての患者様に対して適応されるものではなく、最低でも2回以上の全身麻酔下での治療が必要になります。
#歯周病 #歯肉退縮 #骨吸収 #抜歯
主 訴 | 体表腫瘤の切除と合わせて歯科処置 |
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動 物 | 小型犬 | 年 齢 | 9歳 |
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種 類 | トイプードル | 費 用 | 7.5万円(歯科治療のみ) |
治 療 方 法 | 歯周基本治療、上顎第四前臼歯抜歯 |
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コ メ ン ト | 1年前に歯周病で歯周基本治療ならびに抜歯を複数本行っていた症例です。今回は、体表ににできた腫瘍の切除のついでに歯石除去を行いました。基本的には歯科処置と他の手術を併用することはしませんが、頭部から離れた場所にあった事と術後に抗生剤を使用することから同時に処置を行うことになりました。 しかしながら、歯磨きによるプラークコントロールが出来ていなかった事から歯石沈着の好発部位を中心に全体的に歯周病になっており、上顎第四前臼歯(4th Premolar)の遠心根(distal root)においては重度の歯肉退縮(gingival recession)が認められました。レントゲン検査でも歯根の周りに骨がありません(黒くなっている)。また、歯石を除去後にマイクロスコープで歯根を確認すると歯槽骨(Alveolar bone)だけでなく、歯根の外部骨吸収(Resorption of root)も起こしていました。プラークコントロールが難しく、かつ歯根の外部吸収も起こしていた事から温存することは難しいと判断し、歯をバーで分割し、抜歯を行いました。抜歯した一部の歯根と歯槽骨が骨性癒着を起こしており、抜歯時に歯根と一緒に歯槽骨の一部も取れてしまいました。 歯周病はプラークが主原因で起こりますが、多因子が複雑に絡み合った結果として起こります。その為、プラークや歯石ががっつり付いていても歯周病がわずかしか進行しない個体もあれば、僅かなプラークの沈着でも歯周病が急速に進行し骨吸収を起こし歯がなくなってしまう個体もいます。 なので、見た目綺麗なのに歯科レントゲン検査を行ったら骨が結構なくなっているという症例に出会うことが多々あります。獣医療における歯科治療は仮診断の上で治療しなくてはならない為、あらかじめ様々な状態に対して治療の選択肢を用意する必要性があり、処置の内容により思いの外、治療費が高額になってしまうケースがあります。ですので、歯の温存を希望される場合は、早め早めの対応(予防歯科)が重要と考えます。 |
予 後 | 歯周病はSilent Disease(静かなる病気)という別名で表現されるように酷くなるまで病気と自覚されることが少ない病気です。犬においては飼主様が意識して口の中を定期的に確認し、歯肉が赤い、歯石が付いている、口臭がする等といった初期変化に気がつかなければ、ご飯が食べられなくなったり、ひどい悪臭がしたり、歯が抜けた等といった症状がかなり重症化してしまっている状態でないと気がつかない事が多い病気です。 今回の症例は1年前に当院にて歯科処置を行っています。その時にも重度の歯周病のため、複数本抜歯しており、今回抜歯した歯も前回の治療時には軽度の歯周病にはなっていましたが、しっかりと治療を行っていました。しかしながら、プラークコントロールが出来ていなかった事から症状が進行したと考えます。 スリランカスタディーという歯周病に関する有名な論文(歯周病の進行は個人差がある)があり、犬にも当てはまる事がわかっています。今回のケースでは重症化する個体だったと推測されます。その為、プラークコントロールができていない状況下では、年に1回の歯周基本治療だけでは歯を維持することが難しいことが考えれます。その為、残っている歯を温存したいならば、ホームケアとして毎日の歯磨きが必須であり、最低でも年1回は全身麻酔下での基本歯周治療が必要になります。 |
※治療当時の費用であり、病状や処置内容により費用が異なる場合がございます。
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