札幌は、お盆が過ぎたころから日中でもかなり涼しくなってきました。
夜は窓を開けていると肌寒さを感じるほどの快適?な気候になってまいりました。
このまま気温も上がらずいつの間にか秋になり、そして、また冬を迎えるのでしょかね?

今回は尿石症についてです。

尿石症とは、泌尿器(腎臓や膀胱)に結石ができる病気を総称した言葉です。一般的には腎結石とか膀胱結石などと呼称する事が多いです。

結石といっても、その成分の違いにより様々な名称があります。

その中で犬や猫で最も多いのがストラバイト(struvite)結石と呼ばれるものです。
この結石「リン酸アンモニウムマグネシウム」とも呼ばれています。つまり、リンマグネシウムアンモニアが結石の構成成分となっています。

このストラバイト結石は、結石全体の約75%を占めるくらい非常によく見られる結石です。

その他にも、シュウ酸カルシウム、シスチン、リン酸カルシウム等とその成分により様々な名称の石があります。

今回は、結石の成り立ちとストラバイト結石について少し触れたいと思います。

日常生活の中でその子に結石があるかないかの判断は残念ながらできません。
大抵の場合は、おしっこが出ない・頻尿・血尿といった病的な症状があって、病院で調べた結果、結石が原因であることが分かる場合が殆どです。

結石とはなぜできるのでしょうか?
尿は基本的に、腎臓で老廃物が濾過されていらなくなったものが尿として作成され、そして膀胱に蓄えられて排尿として外に排泄します。尿の成分の殆どは水ですが、尿素やナトリウム、塩素、カリウム、マグネシウム、リン、カルシウムなどのイオン類やクレアチニン、アンモニア、ホルモンなどを含んでいます。それらが様々な要因でたくさん結び合わさると先ずは結晶化します。そして、それらが更にたくさん結びつくことで目に見えるような結石化をします。

様々な要因の1つとして、「過飽和」という状態が起きると尿中に結晶化します。
飽和とは、理科の実験などでやったことがあると思いますが、一定量の水(溶媒)の中に、砂糖や塩などの溶質を入れます。ある程度まではかき混ぜると水の中に溶けてうまく混ざりますが、一定量を超えた段階で溶けなくなり、水の底に溶質が溜まってしまいます。これを飽和と云います。つまり、上述した様々な微量物質が尿中にそれ以上溶けない状態になってしまった状態=飽和が起きた時に結晶化します

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この飽和は尿が濃い状態であれば、起きやすくなります。つまり、あまり水を飲まない子は結石になりやすくなる道理です。また、ストラバイトの場合、pHがアルカリ性に傾くと出現しやすくなります。その原因としては、食生活や運動不足、尿路感染症、体質などがあります。

尿路感染症(細菌性)は、雌に比較的起きやすい症状の1つで、雌は雄に比べて尿道が短く、そして尿道が広い為、感染症が起き易くなります。逆を云えば、雄は尿道が狭いために尿道内に結石が詰まり易くなります。
比較的多い感染症としては、ウレアーゼ産生菌と呼ばれる尿素を二酸化炭素とアンモニアに分解する酵素をもった細菌です。これに感染するとストラバイトの成分であるアンモニアが大量に作られ、そのアンモニアが水と化学反応を起こした結果、尿のアルカリ化が進みます。そうなるとストラバイトの尿内での溶解度が低下するために結石が出来てしまいます。

では、結石にならない為にはどうしたらよいでしょうか?

1つは尿路感染症が起きないように清潔に保っていただくことが大切です。もし、感染してしまった場合は、抗生物質をしっかりと決められた用量・用法を守って治療していきます。
そして食生活の中で、たんぱく質やリン、マグネシウムといった結石の構成成分の摂取量を抑える事が必要になります。たんぱく質やミネラルは健康を維持するためには必要な成分ですから、必要以上の制限はしてはいけません。あくまで過剰摂取を控えることになります。
また、水分をなるべく多く摂る事も大切です。これは上述した通りに、尿における過飽和を避ける狙いがあります。しかしながら、心臓が悪い場合は水分の摂取を控える必要があるので、心臓病がある場合は注意が必要です。

結晶は、生理的な範囲内で出ることもあります。ですので、「尿に結晶がでた=すぐに食事療法の開始」という図式にはなりません。継続的に尿中に結晶がみられる場合は、現状の状態ではいずれ膀胱結石になる可能性が高く、その結果として将来的に尿路閉塞や膀胱炎等の症状を引き起こすリスクが高くなります。
そのような状況の場合、食事によるミネラル制限と尿量を増やす必要が出てきます。昔と比べて療法食も指向性が高くなり、選択肢も増えてます。 最近では尿石症に配慮された一般食もありますので、以前よりも予防がしやすくなっております。

食事の事についてのご相談も受け付けておりますので、気兼ねなくお問い合わせください。

また、尿石症のリスク確認や早期の腎疾患発見のために、定期的な尿検査をお勧めいたします。