今回は、うさぎのツメダニ症についてです。

うさぎのツメダニはウサギのみならず人をも刺し、そして皮膚炎を起こすこともあります

このツメダニは皮膚表面に寄生し、皮膚内に穿孔するタイプのダニではありません。尚、オーストラリアではこのツメダニ属の一種が粘波腫症という病気を媒介すると云われています。

症状として脱毛と皮膚に白いフケが出ます。患部が赤くなることもあります。背中や腰に好発する事が多いです。

ツメダニ症

うさぎツメダニは、体長が約0.3~0.5mm、形状は卵円形、外観として大きな顎体部をもっています。生活環(卵から成虫、そして生殖ができるようになるまでの期間)は約5週間です。全期間を宿主体表に寄生し、感染経路は接触感染で、ストレスなどによる免疫力低下も感染しやすい要因になります

ツメダニ01ツメダニ02

左の写真が幼ダニで、右の写真は卵です。

ダニの診断は比較的簡単です。患部の落屑や被毛をセロハンテープで採取し、顕微鏡で鏡検し成体を検出するだけです。症状が真菌症にも似ていますので、併せて行います。カビの胞子が確認できずに、ダニだけが発見された場合は、ダニ感染による皮膚症状ということになります。

治療はイベルメクチンという薬を概ね1週間毎で投与します。卵には薬剤はききませんので、生活環の間は投与が必要になります。

ちなみに、皮膚の表面のみで生活しますので部屋のなかで増えるという事はありませんが、ダニがうさぎのケージ内や飼育場所周辺に散らばることがありますので、そこが感染源になってしまいます。なので、ダニと診断された場合は、新たに感染しないようにケージの消毒や床敷きの廃棄などが必要になります

また、人体への皮膚症状がみられた場合は速やかに皮膚科を受診してください。その際に、「うさぎがツメダニと診断されました」というと話は早いと思います。

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見てるだけで、なんだか痒くなりますね・・・。