先日は、暴風雪の影響でまとまった雪が札幌に降りました。

当院は厚別通りの道路沿いにあるので、重機によるルーチン的な除雪をされると病院の入り口が除雪された固い氷雪によって封鎖されてしまいます。昨年は、あまりにも酷かったので行政に相談という名のちょっとしたクレームを云った所、シーズン中はずっと綺麗になっていましたが、今年は最悪でほぼおかれたままに…毎年、担当する業者が違うからという理由らしい…。

申し訳ない程度に間口処置はされているのですが、処理の仕方が雑なため、歩道に固い氷雪が置かれてしまい、逆に入り口を封鎖してしまっています。高さ40cm、幅60cm弱の固い氷雪の除去作業は本当に大変なんです…。今年は除雪機を何とか駆使してどかしましたが、いずれ除雪機の下敷き等の事故を起こしそうな感じです。そんな事が毎回あるので、まとまった雪が降った日は道路から病院へ入れません。ですので、時間外診療を行えないのです…。夜中、または早朝の除雪作業は住宅地なので出来ません。ご理解いただけると幸いです。

さて、北海道の除雪あるあるから始まったブログですが、前回から間が開いてしまった「歯周病」についてです。

今回は、実際に重度の歯周病の為、抜歯が必要になってしまった症例をあげていきたいと思います。

まずは、犬歯の歯周病が酷すぎて、鼻から膿性鼻汁が出ていた子の写真です。

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犬歯の歯肉が著しく後退しており、歯槽骨も溶けています。

本来の歯肉のラインは、右の写真の位置になります。歯周病が進行することで歯肉後退が起こり、そこに歯石がつき、そして、さらに歯周病が進行し、どんどん歯肉後退が起こってしまいます。

その結果が、上の写真の状態です。これは犬歯の全周にわたり付着していた歯石をとった後の写真ですが、黄色い線より上にがっつりと歯石がついていました。歯石を取る前はほとんどぐらつき(動揺)はなかったのですが、歯を支えていた土台(歯石)を取り除いたことで触るとかなりぐらつきがありました。

歯石を取ったあとに、歯周プローブという道具で歯周ポケットの深さを確認したところ、ずっぽり奥まで入ってしましました。本来であれば歯のレントゲンを撮影した方が良いのですが、今回は症状から歯周病が進行し、根尖膿瘍を起こしている(膿性鼻汁という形で)ことが分かっておりましたので、撮影をしておりません。

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左の写真は、歯周病が進行した犬歯を脱臼させて抜歯を行った後の状態です。歯槽骨がほぼ溶けてしまっており、歯を支えている歯根膜もかなり痛んでいたので抜歯はスムーズに行うことができました。

写真ではあまりよく分かりませんが、口から鼻へ穴が開通しています。

右の写真は、口から鼻へ液体や食べ物などが入り込まないように閉じる必要があり、閉じた後の写真です。

不良肉芽と呼ばれる治療に邪魔になる余分な炎症組織を除去した後、歯肉粘膜のフラップ(皮弁)というものを作成し、吸収される縫合糸で孔を閉鎖します。

だいぶ端折ってますが、これが犬歯の抜歯術になります。

今回の症例は重度だったので、抜歯にかかる手間が少なかったのですが、通常は結構大変です。

歯肉を切って歯槽骨を露出させ、さらに歯槽骨を削ってエレベーター鉗子で歯を脱臼させ、抜歯鉗子で周辺組織を痛めないように抜きます。一連の作業はなれていないと時間がかかり、結構大変です。

切歯(前歯)や犬歯、第1前臼歯などは単根歯とよばれる歯根形態を呈しているので、抜歯は楽ですが、第1前臼歯より後ろにある歯は多根歯と呼ばれ、歯の根っこが複数に分かれています。簡単には抜けないので歯を分割し、単根状態にして抜歯になければなりません。

つづく

※次回は、多根歯で起きた歯周病の症例についてです。