世の中は3連休中ですが、当院は通常どおり診療中です。

先週火曜日からの低気圧の影響で、毎日のように降雪があり、その度に除雪作業に追われております。気温がこの時期にしては暖かいために、重たい雪なのです。おかげさまで全身筋肉痛です。

ここ数日は、重症患者の入院管理や夜間診察の対応などで寝不足ぎみではありますが、ブログを更新していきたいと思います。

今回の内容は、当院のブログでも度々情報発信しておりますが、「歯科疾患」についてです。

その中から「歯周病」をクローズアップして、「この病気って、実は大変な病態なんですよ」という内容を複数回に分けて情報発信していこうと思います。

まず、歯周病がどのような病態を呈して進行していくか図説いたします。

※上の図は「くわしい犬の病気大図典」より抜粋、引用させていただきました。

①が正常の歯の構造、②③④と歯周病が進行し悪化していく様子です。

正常な歯の構造は、まず歯槽骨(顎骨の骨体部と歯牙を結ぶ骨)によって歯が支えられています。さらに歯槽骨と歯の架け橋になっている歯根膜があり、その周りを歯肉が歯槽骨と歯を覆っています。

歯周病とは、歯と歯ぐき(歯肉)のすきま(歯周ポケット)から侵入した細菌が、歯肉に炎症を引き起こし、さらには歯を支える骨(歯槽骨)を溶かして、その結果として歯をグラグラにさせてしまう病気のことを云います。

本来は、人と同じく歯磨きをして歯周ポケットにたまった歯垢をしっかり掻き出さないと歯周病はどんどん進行してしまいます。

ちなみに、歯垢は食べ物のカスではなく、細菌の塊(プラーク)なのです。そのプラーク1mg中には数にして約10億近い細菌がいると云われております。犬や猫の口臭の原因のほとんどが、このプラークによるものです。

歯周病菌の殆どは、酸素を嫌う細菌(嫌気性細菌)です。歯周ポケットの中は酸素の量が少ないので好んで生息します。

ブラッシングによる歯磨きは、この歯周ポケットに入り込んでいる歯垢(プラーク)を掻き出すことが目的であり、ブラシが入ることで歯周ポケットに酸素が入り込みます。そうすることで歯周ポケット内に生息している嫌気性菌が増殖しにくい環境になります。

ただ、実際は幼少期(社会化時期)より歯磨きの習慣をつけていない犬の歯磨きをするのは極めて困難です。

その為、「歯の表面のみ」の歯垢除去を目的としたガーゼ等を使った歯磨きが一般的で、当院でも歯ブラシができない方には指導しております。

ただし、このガーゼでの歯磨き方法、歯周病予防の対策としては適していない方法といえます。

可能であれば人と同じく優しく歯周ポケットもブラッシングして、ポケット内の歯垢を掻き出すことが理想的です。

つづく