各種マスコミを通じて昨晩に発表された衝撃的ニュースです。

以下、長文にになります。

厚生労働省は7月24日、野良猫にかまれた50代の女性がマダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome:SFTS)」を発症し、10日後に死亡していたと発表した。

猫にかまれたことが原因とみられ、猫からヒトへの感染事例が明らかになるのは全国で初めてのこと

厚労省や国立感染症研究所によると、女性は西日本に在住。昨年、衰弱した野良猫を動物病院に連れて行こうとして手をかまれた。数日後にSFTSを発症したという。女性がダニにかまれた形跡はなく、感染研は野良猫が最初に感染し、女性にうつしたとみている。

これまでSFTSは森林や草地等に生息するマダニに人が直接咬まれることで感染すると考えられていた。

厚労省は今年に入り、SFTSウイルスに感染し、発症した飼い猫と飼い犬がいることを確認した。また、シカやイノシシなどからも、ウイルスに感染していたことを示す抗体がみつかっている。

感染はまれで、屋内で飼っている猫にはリスクはないとしているが、屋外にいる体調不良のペットに接触する場合は注意するよう呼び掛けている。

SFTSの潜伏期間は6~2週間、主な症状は発熱と下痢や嘔吐、腹痛などの消化器症状、その後に頭痛や筋肉、痛意識障害等の神経症状、リンパ節の腫脹、出血(血小板減少症により)などが起こり、死亡する場合もある。

日本での致死率は約20%です。中国の報告では6~30%といわれています。

現在の所、特効薬はありません。治療は対症療法のみになります

国内ではこれまで、西日本を中心に、届出時点の情報では178人の患者が報告されており、その内、35名が死亡しています。死亡例は全て50代以上で、高齢者が重症化しやすいと考えられていました。

北海道内ではダニ感染症に罹患が確認されたのはこれまでに3件、昨年8月に無くなられた男性は「ダニ媒介脳炎」が原因で、SFTS感染症ではない。2017.5の時点では、北海道内及び札幌市におけるSFTSの発生はありません。

しかしながら、北海道でもSFTSウイルスの遺伝子を持つマダニが確認されています

国内で初めてSFTSに罹患していたことが確認されたのが2013年1月、その後、九州、四国、中国・近畿地方で確認されていますが、SFTSウイルスの遺伝をもったマダニが確認されたということは、今後、北海道内でも起こりうる可能性が高いという認識を持った方がよさそうです。

札幌市でもマダニが媒介する感染症について札幌市公式サイトにて発表しておりますので、そちらをご確認下さい。

今回の件に関して、厚生労働省の公式サイトにある「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A」より、一部引用・転載いたします

問)ネコやイヌからSFTSウイルスに感染する危険性があると言うことですか?

答)ヒトにSFTSウイルスを感染させるリスクのあるネコなどは、ヒトのSFTSで認められる症状を呈していたことが確認されており、健康なネコなどからヒトがSFTSウイルスに感染することはないと考えられます。また、屋内のみで飼育されているネコについては、SFTSウイルスに感染する心配はありません。現時点においてはまれですが、SFTSウイルスに感染し、発症している動物の血液などの体液に直接触れた場合、SFTSウイルスに感染することも否定できません。なお、ヒトのSFTSで認められる症状を呈していたネコに咬まれたヒトがSFTSを発症し、亡くなられた事例が確認されていますが、そのネコから咬まれたことが原因でSFTSウイルスに感染したかどうかは明らかではありません。

問)ペットにマダニが付いていたのですが、そのマダニを介してヒトがSFTSにかかることはありますか?

答)ペットに付いているマダニに触れたからといって感染することはありません。しかし、マダニに咬まれれば、その危険性はあります。マダニ類はイヌやネコ等、動物に対する感染症の病原体を持っている場合もありますので、ペットの健康を守るためにも、ペットのマダニは適切に駆除しましょう。ペット用のダニ駆除剤等がありますので、かかりつけの獣医師に相談してください。散歩後にはペットの体表のチェックを行い(目の細かい櫛をかけることも効果的です)、マダニが咬着している(しっかり食い込んでいる)場合は、無理に取らず、獣医師に除去してもらうのがよいでしょう。

我々ができる仕事は、マダニやマダニ媒介性感染症に関する情報の提供やマダニ予防の啓蒙活動、マダニが付いた時のマダニ除去位しかできませんが、ご心配な方は、当院までお問い合わせ下さい。

マダニのピークは5月~8月頃ですが、9~10月でも確認されておりますので、フィラリア予防と併せての予防をお勧め致します。マダニ予防薬を用いずに市販の忌避剤にも一定の効果がありますが、マダニの付着を完全に防ぐものではありませんので、ご注意下さい。

ヒトができるマダニ対策については、国立感染症研究所が一般向けにパンフレットを作って発表しておりますので、そちらをご確認下さい。スマホ対応していませんので、見えづらいかもしれません。