急ですが、とあるメーカー製造の犬混合ワクチンが突如、生産終了することになり在庫限りで販売が終了するという事案が発生しました。

業界内でもそれなりのシェアを持っていたメーカーでしたので、これらの供給が止まると他社製品に一斉に代替することになり、その結果、数年前にも発生しました業界内で混合ワクチンの供給が数ヶ月にわたり停滞することになります。

実は、当院で使用していたワクチンがその影響を受けまして、代替品である他社のワクチンも現在、購入制限がかかってしまっており、お盆明け以降でないとディーラーから購入することができなくなってしまいました。それも、どの位割当になるかも不明です。

レプトスピラ感染症に関するヘブドマティス型混合ワクチンの製造も終了しますので、レプトスピラ感染症を主目的にワクチンを接種していた方には今後、注意が必要になります。まぁ、北海道では夏以降に接種する意味は低いので大丈夫だとは思いますが…

とあるメーカーの混合ワクチンですが、製造中止に至った理由が、子犬の移行抗体を突破できないことが判明した為とのことです。当院では数年前から抗体価検査をしている関係で、全員ではありませんが子犬に対してとある項目が異常に抗体価が上がりづらいという統計データが出ていました。他社のワクチンを接種すると抗体価がしっかりと上がるので、品質に問題があるのでは?とメーカーに問い合わせをしまして、返ってきた答えがワクチン製造終了でした。ただし、移行抗体の影響を受けない生後16周目以降に接種した個体でも上がりづらかったので、製品の欠陥だと思っています。

今回の件も含め、国内でワクチンを製造販売していたメーカーが2社とも駄目になりました。

どうやら国内では犬の混合ワクチン製造は無理のようです…。

はっきりいってメーカーには怒りしか覚えません。

接種しても抗体が上がらない、または上がりにくい製品を製造販売し、それを我々は犬に接種し、抗体が上がらないのは個体差(ローレスポンダー、またはノンレスポンダー)として扱わざるを得なくなり、本来ではあれば必要のない検査、ワクチンの追加接種をしなくてはならなくなってしましました。今回、メーカー側の説明だと、新しく作り直すのに必要な製造ラインの確保ができなくなった為との事らしいですが…本当の理由はメーカーにしかわかりません。営業の人には知らされていないのだと思います…。

その為、メーカーは自主回収を行いません。検定には合格しているので、現在、販売しているものは売り切るようです。成犬への接種には問題ないという結果だからということです。

接種量が他社製品よりも少なく、特に小型犬の子犬には重宝していたワクチンだったのですが、残念です。

今回の件、まだ動物病院以外ではほとんど公になっておりませんが、ブログで暴露しちゃいました…

メーカーや製品名は当院のブログを見ている方ではあれば、簡単に調べられると思いますので、興味があれば探してみてください。

つきましては、現在、在庫している5種混合ワクチンに関しては効果が望めない恐れがあるため、本日より(2019.8.7)、接種を見合わさせていただきます。

子犬に関するワクチンは現在対応検討中(パルボ、ジステンパーの2種混合は接種可能)です。成犬への接種に関しては代替品が入荷次第、接種を行うか、抗体価検査にてコアワクチン(アデノ、パルボ、ジステンパー)の抗体価を調べるというで事で対応させていただきます。

ワクチンは基本的に毎年接種するものではなく、抗体価が下がった個体に接種することが望ましいです。毎年を希望される方もいるので、毎年接種している個体もおりますが、当院では抗体価検査を推奨しております。

追記:抗体がある=病気にならない というわけではありません。また、免疫記憶と液性免疫の関係もある為、総合判断で評価します。

皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程、よろしくお願いします。

2018.8.10追記:5種混合ワクチンを確保することができました。子犬への接種は可能となります。成犬に関しては、引き続き抗体価検査をおすすめします。